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タンザニア絵画展ティンガティンガ村の画家たち」2003年度版
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[展示中の版画家ハシムについて]
「私は彼の作品を昨年2002年に拝見する事が出来ました。
何処となく愉快な感じのする作品でした。それはシェタニについて違和感の無いハシムが感じている世界を版画作品を通して私が見せられているからだと思われます。
版画は版画でも日本人が慣れ親しんできた木版画です。木版画といえば棟方志功が手を合わせている仏教僧侶の姿をモチーフにしている作品が浮かんで来ます。
アフリカで木版画?そう思う方もおられるでしょうね。しかし指導する青年海外協力隊の方達が考えた末には一番コストのかからないのがこの木版画だということでした。原版にする樹木もそれに似合った材料が見つかったのです。


作品名「MGANGA」1994年
この作品は1994年に制作されたもので作品名は「MGANGA」です。

地面の中から骸骨のようなシェタニが、裸足で歩いているこの男性を見つめているように見えます。そして男性の背後には、杖に変身したようなこれまたシェタニだと思うのですが彼の後からついて来てるようです。…そのように私が見えるだけで実際は作者が、どう説明するかは分かりません。

1988年から1995年にかけて、「芸術の家(Nyumba ya Sanaa=ニャンバ・ヤ・サーナ)」の教師養成プロジェクトが青年海外協力隊とザンジバル政府との共同で成されました。
そこで教育を受けられたのが3人で、サルム・ムチ(Salum Muchi)とアサー・ハマッド(Asaa Hamad)とハシム・アブディでした。
期間中に制作された彼らの作品を、まだ始まって3回目のしかし日本最大規模である国際版画展に出品した結果、みごとハシムの作品「MY LIFE」が準大賞を得る事になったのです。76カ国から3033点の作品が集まり46点が授賞しましたが…大賞はありませんでした。翌年1996年には北海道立近代美術館で展示されたのです。

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私がそんな彼の作品と出会ったのは昨年2002年でした。
6点ばかりの作品を手に入れましたが…現代的な場面も見られたため、動物などが主体のティンガティンガシリーズとはちょっと違っていた為に、画面上に上げるのは少し差し控えていたのです。そして1年経ちこの展示会で公表できるチャンスを得たのです。勿論東京などでは画廊等で個展もされていますし、九州には産業大学へ半年の留学もあり、まったく初めての事ではないのですが。広島では初めてというところでしょうか。


ハシム制作 「MGANGA」
どことなく地面から出てきたシェタニが腰を曲げて歩いている人間を見て笑っているようにも感じます。後のシェタニは、「私があなたの杖になりましょう。」と囁いているようにも思えます。がしかし、その気持ちは人間には伝わらない…だから、骸骨は笑うのでしょうか?

この作品は山吹色の薄い厚みのマットボードに金色の竹のデザインで出来ている棹で額装されています。

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[ザンジバルの彼の住む家]
彼の家はダラダラに乗り、街から20分から30分ほどで、降りるとそこから15分から20分歩きます。

ちょっと小高い丘の上にあるような団地に入って行きます。
団地といっても素肌のブロックを積み上げてその上をトタンが覆っていたり椰子の葉であったりする、そんな狭くて小さな平屋ばかりが集まる集落のような所です。道は凸凹で平坦ではありませんでした。途中マンゴの巨木が現れその上で子供たちが遊んでいました。やがて彼の家です…
沢山の焚き木が束ねられ外に置かれています。中庭から入ると女の子とたちが洗濯物の下、コンクリを打ってある上で遊んでいました。そこから4畳半ばかりの板張りの部屋が見えます。そこにある荷物を片づけて下さり私達は御座の上に座ったのです。


ハシムの家
この日はよく晴れ渡っていました。ここに至るまで小さなお店が2軒ありました。

外にある焚き木は良く聞くと奥さんが昼間山に行って拾って来ているものであり、それを近所の人たちが買付にやって来るという事でした。なんだか飾り気の無い…同じような家が沢山あるのです。
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彼は旅行鞄の中に書籍類やノートやらを忍ばせているのです。
その中から選ばれた雑誌は…北海道近代美術館で公開された、国際現代版画ビエンナーレ展授賞作品が掲載されたものでした。私はこの時初めて彼が授賞した作品を拝見する事が出来たのです。「MY LIFE」…他の作品がスワヒリ語であるのにこの作品名は英語で書かれてあります。と、見入っているうちに彼の解説が始まりました…

手は働く手、学ぶ手…本を読んだり、鉛筆で字を書いたり、…足には靴を履いた足と、履かないで素足のままの足があり、靴を履いているのはお金持ちを現し、履いてない足はお金のない貧乏な人の足を意味しています…ええ?説得力のある解説です。貧乏をしているこの国と、この国に住む住民代表のハシムを目の当たりにして、私はそんな話に引き込まれていました。
やたらに出てくる手、足、それらがそういう意味の元で彫られ刷られた事が分かって来たのです。それと同時に日本の我家にある彼の作品にも手の平に顔が彫られた作品があったのですが、私の脳裏をかすめて行きます。なるほど彼のモチーフなんだと…。


自宅のハシム氏
私は、彼は東洋には手相という易学のある事を知っているのだろうかと、ふと思い聞いてみると知らないとの事でしたから、少し話しておきました。手のひらの中の知能線、生命線、感情線についてです。彼の描く手のひらの中には、はっきりと相が彫りこまれていたからです。マイ・ライフの主人公は目を閉じて人生を考えているといった様子ですが、自身の手相からもそんな喜怒哀楽の日々を伺えるということを知っていて欲しかったからです…

アンケート内容を皆さんにご紹介していましたが…あるお客様よりメールが届き、ハシムについて知りたいとのご意見があり、先にハシム氏についての記憶を辿る事に致しました。しかし、あまり時間も無く簡単にして終わりますので御了承下さいませ。



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2003.7.31
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