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目次に戻ります。ためになる書籍はここで〜す!な、何のお話?

中央アフリカ共和国
[シンギラ ミンギ]
エイズは音のない戦争であると言われている。
アフリカ大陸では、1999年240万人がエイズで亡くなったと推定され、この死亡者数は、アフリカ大陸で戦争や内乱の犠牲者数の十倍以上である。20〜30代の働き盛りの青年たちが、また子供を産み育てている若い女性たちが次々とエイズで亡くなって行く。

この本の副題は「アフリカでエイズ患者と共に生きて」というものです。「シンギラ ミンギ」とは?「ありがとう」の意味で、著者が患者と接しはじめて数年で亡くなるまでの期間、人間同士の交流を描いた中で聞く言葉です。著者の前に現れ消えていく、つまりエイズで死んでいく中央アフリカの人々を描きます。


[シンギラ ミンギ]
診察室で彼がズボンを降ろした時、私は一瞬目を閉じてしまった。外陰部から右大腿部にかけて親指大の肉の塊が十数個サボテンの芽のように飛び出していた。カポジ肉腫である。進行したカポジ肉腫は、私達の医療レベルでは打つ手がない。医師は頭を抱えながら痛みには鎮痛剤、倦怠感には強壮剤、食欲不振には食欲増進剤と対処療法を続けた。・・・
いよいよ歩けなくなり訪問診療を行うようになった。部屋に一歩足を踏み入れると肉の腐敗臭が交じり合い、異臭を放っていた。小さなよろい戸を開けると、そよ風が流れ込み、我慢していた息を大きく吸い込んだ。・・・
「シモン、どうなの」
「よかぁないよ。これどうにかしてよ。」
シモンは怒ったように言うと、突如下半身にかかっていたシーツを捲りあげた。シーツの中にこもっていた腐敗臭が、私の顔を直撃した。私は胃から突き上げてくる吐き気をかろうじて抑えた。外陰部の肉芽が自壊し、カリフラワーのようになって、浸出液が流れ出していた。・・・
「あんたがくれた睡眠薬なんて、全然効かないよ」
「2錠飲んでください」
「2錠飲んでも眠れないんだよ」
「じゃあ、もっと強い薬に代えましょう。今度の薬は、よく効くよ」医師は彼の肩を優しく叩いた。・・・

週二回シモンを訪問した。・・・肉腫は無力な私たちをあざけるように増殖していった。肉腫が増大すればするほど、シモンの体力は衰弱していった。・・・もし先進諸国のように、早期に抗HIV剤を使うことができていたら、病気の進行を抑えることができたはずだと思うと心苦しくなり、寝息をたてて眠っているシモンに「ごめんね」と謝ってしまう。

中央アフリカって、どんな気候なんでしょうか?私は知りませんが、著者は日本と変わりない心象でつづります。日本に帰国して書かれたものなのかも?知れませんが。とにかく細かい心情描写が看護婦さんらしいところです。

先進国はエイズの発症を抑える手段を持っているというのに、この国では対処療法しかできないと嘆きます。抗HIV剤には、一人当たり毎月50万セファフラン(十万円)かかり、しかもこれで治せるわけではなく感染者は飲み続けなければなりません。患者が日本あてにミシンで作る原色の布とアフリカのカラフルな腰巻きの布を組み合わせて作るリバシブルのチューリップ帽子が日本のバザーでよく売れ、そこから得る日当から100円づつ積み立てたとしても買えるわけでもないのです。
「先進諸国や国連機関が支援してくれない限り、私たち民間団体の力も及ばない。しょせん幻の薬でしかない。と述べます。今、地球が一つの家族のようになったとしたらどうでしょうか?先進諸国が儲けの中から得た余分なお金をこのアフリカに当り前のように使うとします。もし我々家族の中に、身体障害者がいたとして、働けない彼か彼女を他の家族が助けるわけです・・・どうでしょう?当然当り前ですよね・・・家族であれば。しかし、問題は家族ではないという事です。日本人からすれば赤の他人ですよね、アフリカの人たちは。他人事ではないと思える人々がアフリカにボランティアで渡り、全く他人であると割り切れる方は、我冠せずの領域・・・こう大雑把に分けて見る事も出来ます。

どちらがどうというわけでは勿論ないです。過保護になれば人間ダメになってしまいますし、全く干渉しなければ冷酷であるともいえなくはないです。しかし植民地支配し奴隷として扱っていた時代と比べれば随分彼らに自由を与えているのだからそれでいいではないか、という次元でもあるか知れません。
そして突飛な考えかも知れませんが・・・彼らを助けて彼らがその恩を忘れずに、いつの時代か先進諸国がアフリカのような事態になりアフリカが先進諸国を助けるという事がありうるならば、自身が生きる一時代を越えて・・・、困った時にはお互い様、助けてあげようよ・・・そういう考えも産まれてこなくはないです。

地球の地軸が移り変わり、四季折々の季節の中で暮らす私たち先進諸国
の気候がアフリカの一年中暑い地域と逆転してしまったなら・・・私たちは少しずつ暑い々といって働く意欲に欠き、勉学にいそしまなくなり、人倫道徳は廃(すた)れ、手の施し様がない国家に陥るわけです・・・。その時温暖な国で暮らす彼らアフリカの人々は、私たちを見て見ぬふりをするのか?それとも少しは気にすのでしょうか?それとも、過去には助けてもらった歴史的経緯から勇姿が私設団やら、海外派遣やら、NGOを組織して海を越えてはるばるやってくるのかもしれないという事です。飛躍し過ぎた比喩で申訳ないのですが・・・^_^;(>_<)(-_-)(T_T)(^O^)

それにしても、まず彼らは教育を受けなければどうしようも無いというのは明らかです。恩さえも感じなければ、当然という事では、彼らはただ過保護に陥ってしまうに違いありません。先進諸国の利益をただただ注入するだけでは、砂地に水をかけるがごとくという感じです。やってはならない事を守れる個人を育てて、互いの信頼関係、秩序を得なければ、これからも天文学的な援助金を投資し続けるはめに陥ってしまうに違いありません。純粋な心を育て、真摯に自他国の事を憂慮できる人材を長いスパンで育てる事に取り組む必要があるようです・・・

[シンギラ ミンギ]
多くのエイズによる死者を出しながらも、一般女性の売春は続いている。これを貧困だからと一言で片づけていいものかと思う。今日子供に食べさせるために売春をする。他の労働よりも楽で収入がいいから売春をする。洋服やおしゃれの為に売春をする。売春の理由はいろいろである。売春行為に正しい理由などあるはずがないが、きれい事ばかり並べて机上の空論を唱えることは、もっと空しい。現実をしっかり見つめねばならない。現実とは毎日食べることである。

問題は、自然に恵まれたサバンナ地帯で、なぜ人々は餓えるのかということである。広大な土地があるのに農業を志す若者たちがいない。若い女性は、楽をしてお金を稼ごうと売春に走る。騒乱などで経済が崩壊した社会では、大学を卒業しても仕事がない若者たちが都会にたむろしている。こんな社会は希望が持てず退廃的で、HIV感染拡大の好条件となっている。エイズは貧者の病気と形容されるが、私は、エイズは精神的に貧しい人々の病気だと思う。中央アフリカ共和国は貧しい国だとは思わない。気候に恵まれ、広大なサバンナが未開のまま残っているが、農業を志す若者はまれである。若者が自分の力で自立し、国を発展させていくという高い志を持たない限り、感染拡大は続いていく。


これって、話の腰を折るようなのですが・・・日本の今の国情にもあまりにピッタリ必要である著者の一言ではないでしょうか?なにもアフリカだけの問題ではなさそうです。

[シンギラ ミンギ]
1999年、沖縄サミットの主要八カ国共同宣言には、若者のHIV感染者数の25%削減をあげているが、具体的にどうするかは示されていない。日本は第3世界の感染症対策(HIVを含む)のために、今後30億ドル(約3200億円)の支援を行うことを約束したが、どのような対策を行うかは明確にされてはいない。問題は、この巨額なお金をいかに有効に使うかである。「物を送る」だけの援助にならないように願いたい。

いやホントに・・・1999年から3年・・・3200億円はどのように使われたのでしょう?

[シンギラ ミンギ]
現在、4〜5人に1人が感染者であるブラック・アフリカ地域では、感染していない子供や若者を感染から守る予防対策を優先させないと、国の存亡の危機にさらされることは明らかである。・・・そのためには予防教育の徹底しかない。わたしたちはマンパワーを駆使して、シラミつぶし的な作戦で一戸づつ家庭訪問をしながら予防教育を展開し始めた。感染率が上昇し続けているブラック・アフリカ諸国の中で、唯一ウガンダ共和国は感染拡大の歯止めに成功している。それには住民への徹底した予防教育の成果も大きく寄与している。

かつてキリスト教宣教師が自身の命を惜しむことなく神に捧げて、人食い人種も存在するアフリカ大陸に出かけていきました。現代では、人食い人種などと聞く事はなくなりました。あるのは、ずっと昔のイメージを持つ祖父母や父母からの話でしかないでしょう。人食い人種の時代が終わり、帝国の支配が終わり、東西冷戦時代も終わり・・・今アフリカは、先進緒国からの広い意味での教育を含めて、口を大きく上に向け、空けて待っている状態なのかも知れません。他国の者どうしが家族の絆を得られるチャンスなのかも知れません・・・
※HIVとエイズは異なります。
HIVとは、エイズの原因であるウィルスの事であり、HIV感染者とは、エイズが発症するまでの潜伏期間(約5〜10年)にある者を言います。エイズとは、このHIV感染者の末期症状にある者の事で、その症状は、免疫力が急激に低下し、悪性腫瘍などを起し死んでゆきます。



題名:シンギラミンギ
著者:徳永瑞子
(とくながみずこ)
初版:2001年10月4日
発行所:サンパウロ
02.11.14-05.7.12


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